ブラインドテイスティングでピノ・グリ/ピノ・グリージョを見抜くポイント|酸・香り・熟度で判断

ブラインドテイスティングでピノ・グリ/ピノ・グリージョを見抜くポイント|酸・香り・熟度で判断

ピノ・グリ/ピノ・グリージョは、ブラインドテイスティングで品種を特定するのが比較的難しい白ブドウ品種のひとつです。

ソーヴィニヨン・ブランのように目立つ特徴があるわけではありません。さらに産地や収穫時期、醸造方法によって、軽快でフレッシュなスタイルから、熟した果実と厚みのあるスタイルまで幅広く変化します。

そのため、ピノ・グリらしい香りを探しても答えにたどり着きません。大切なのは、いくつかの要素を組み合わせて考えることです。

この記事でわかること

  • ピノ・グリとピノ・グリージョの違い
  • ブラインドでピノ・グリ/ピノ・グリージョを疑う4つのポイント
  • アルザスとイタリアの違い
  • 練習におすすめのワイン
目次

ピノ・グリ/ピノ・グリージョの基本的な特徴

ピノ・グリ/ピノ・グリージョの基本的な特徴

ピノ・グリ/ピノ・グリージョは、ピノ・ノワールの色の突然変異から生まれた品種です。フランスのアルザスをはじめ、イタリア、ドイツ、オーストリア、ニュージーランド、アメリカなど、世界各地で栽培されています。

ピノ・ブランも同じくピノ・ノワールから生まれていますが、順番に変化したのではなく、それぞれ別々に生まれたことが分かっています(参考: Journal of Experimental Botany, 2012)。

ピノ・グリ/ピノ・グリージョの要点

  • ピノ・ノワールの色の突然変異。果皮の色が濃い
  • イタリアではピノ・グリージョ、フランスではピノ・グリ
  • 軽快なスタイルと豊かなスタイルで、印象がまるで違う

果皮の色が濃い白ブドウ

果皮は灰色がかったピンクから紫がかった色をしており、一般的な白ブドウ品種よりも果皮の色が濃いのが特徴です。

通常は白ワインとして造られますが、果皮の色が比較的濃いため、醸造方法によっては淡い銅色やピンクがかった色合いになることもあります。

白ブドウでは、色素をつくる遺伝子の働きが検出されません。一方、ピノ・グリのような淡い赤の果皮を持つ品種(グリ品種)では、その働きがわずかに残っています(黒ブドウの10分の1以下)。
そのため果皮にわずかな色があり、造り方によってはワインにも移ります。(参考: Australian Journal of Grape and Wine Research, 1996)。

ピノ・グリで作られたワインは普通の白ワインの色合いであることも多いですが、白ワインにしては色が濃い、あるいは銅色を帯びていると感じたら、ピノ・グリを思い出す材料になります。

ピノ・グリージョとピノ・グリ

同じ品種でも、イタリアではピノ・グリージョ、フランスではピノ・グリと呼ばれ、産地やスタイルによってワインの印象が大きく異なります。

ピノ・グリージョピノ・グリ
香りは比較的穏やか
レモン・ライム・青りんご・洋梨などのフレッシュな果実の香り
すっきりした酸
軽快なボディ
洋梨・白桃・黄桃・アプリコット・メロンなどの熟した果実
蜂蜜・スパイス・ナッツが加わることも
豊かなボディ
丸みのあるテクスチャー

ブラインドで判断するときのポイント

ブラインドテイスティングでは、ひとつの香りだけで決めずに、次の5つをまとめて考えることが重要です。

香りの強さ:アロマティックか、控えめか

果実の方向:柑橘中心か、洋梨や桃まで熟しているか

酸:すっきり前に出るか、果実と一体になっているか

ボディ:軽快か、豊かか

テクスチャー:シャープか、丸みがあるか

ブドウの色をつくる遺伝子は2つあり、両方が壊れると白ブドウになります。

ピノ・グリは白ブドウとは違い、1本の樹の中に、色をつくれる細胞とつくれない細胞が同居しています。どちらの細胞も果皮をつくるので、黒くも白くもならず、灰色がかります。この同居は不安定で、ピノ・グリの枝から白い果実が出ることもあります。

参考: The Plant Journal(Wiley) / Journal of Experimental Botany(Oxford)

ブラインドでピノ・グリ/ピノ・グリージョを疑う4つのポイント

ブラインドでピノ・グリ/ピノ・グリージョを疑う4つのポイント

4つのチェックポイント

  • 香りは比較的穏やか
  • 柑橘だけでなく、洋梨や桃などの香り(特にピノ・グリ)
  • 酸は中程度で、酸だけが前面に出ない
  • ボディとテクスチャーで2つのスタイルに分かれる

1. 香りは比較的穏やか

ピノ・グリ/ピノ・グリージョは、ソーヴィニヨン・ブランやゲヴュルツトラミネールのようなアロマティック品種と比べると、香りが比較的穏やかなことが多くなります。

そのため、アロマティックではない白ワインでは、ピノ・グリージョ/ピノ・グリを候補に入れることができます。

ただしピノ・グリでは、アルザスを蜂蜜やスパイスなどの複雑な香りが加わり、印象が変わることもあります。

2. 柑橘だけでなく、洋梨や桃などの香りがある

ピノ・グリでは、レモンのようなシャープな果実だけでなく、洋梨や桃のような丸みのある果実が手がかりになります。

ピノ・グリージョピノ・グリ
レモン・青りんご・洋梨などの香り
比較的フレッシュな果実が中心
洋梨・白桃・黄桃・アプリコットなどの香り
より熟した果実が中心

柑橘だけではなく洋梨や桃が感じられる場合は、ピノ・グリを考えるきっかけになります。

3. 酸は中程度で、酸だけが前面に出ない

ピノ・グリ/ピノ・グリージョは、中程度の酸を持つことが多い品種です。リースリングやソーヴィニヨン・ブランのように、酸の高い品種ではありません。

ピノ・グリージョでは、フレッシュな果実とすっきりした酸が組み合わさり、軽快な印象になります。
ピノ・グリでは、中程度の酸に加えて、熟した果実やボディが感じられるため、果実の丸みと一体化した酸として感じられることがあります。

4. ボディとテクスチャーで2つのスタイルに分かれる

ピノ・グリ/ピノ・グリージョを考えるときは、香りだけでなく口当たりにも注目します。

ピノ・グリージョでは、軽快でフレッシュなスタイルが多く、すっきりした酸と軽めのボディが印象的になります。ピノ・グリでは、より豊かなボディと丸みのあるテクスチャーが感じられることがあります。

スタイルから考える組み合わせ

軽快でフレッシュ + すっきりした酸 + 軽めのボディ → ピノ・グリージョ

熟した果実 + 豊かなボディ + 丸みのあるテクスチャー → ピノ・グリ

これはあくまで典型的な傾向です。産地や収穫時期、醸造方法によってスタイルは大きく変化するため、最終的には果実の熟度、酸、ボディ、テクスチャーを組み合わせて判断することが重要です。

ピノ・グリ/ピノ・グリージョの代表的な産地と特徴

ピノ・グリ/ピノ・グリージョの代表的な産地と特徴

ピノ・グリ/ピノ・グリージョをブラインドで考えるときは、まずアルザスのピノ・グリとイタリアのピノ・グリージョを比較すると、品種の幅を理解しやすくなります。

フランス(アルザス)は豊かで熟したスタイル、イタリア(ヴェネト)は軽快でフレッシュなスタイル。

この対比から始めると整理しやすくなります。

産地果実・酸
アルザス白桃・黄桃・アプリコット・メロン
(蜂蜜やスパイスなどの複雑さ)
果実味と一体感のある酸
豊かで丸みがある
ヴェネトレモン・ライム・青りんご・洋梨
フレッシュな酸
軽快なスタイル

フランス(アルザス)

アルザスはピノ・グリを代表する産地のひとつです。イタリアのピノ・グリージョと比較すると、より熟した果実、豊かなボディ、厚みのあるテクスチャーを持つスタイルが多く見られます。

香りには、洋梨・白桃・黄桃・アプリコット・メロンなどの熟した果実に加えて、蜂蜜・スパイス・ナッツなどの複雑なニュアンスが現れることもあります。

酸はしっかり感じられる場合もありますが、果実味やボディが豊かなため、酸が果実味と一体化したように感じられることが多いです。

アルザスでは甘口のスタイルも造られます。残糖の有無や量によっても印象が大きく変わります。

アルザスを考える組み合わせ

熟した白桃・黄桃・アプリコット + 豊かなボディ + 丸みのあるテクスチャー + 適度な酸

イタリア(ヴェネト)

イタリアではピノ・グリージョという名前で広く知られています。特にヴェネトでは軽快でフレッシュなスタイルが多く、レモン・ライム・青りんご・洋梨などの香りと、すっきりした酸が特徴になります。

アルザスのピノ・グリと比較すると、より軽快で、果実の熟度も低めに感じられることがあります。

ヴェネトを考える組み合わせ

レモン・青りんご・洋梨 + 中程度の酸 + 軽快なボディ + 比較的穏やかな香り

イタリアのピノ・グリージョにもさまざまなスタイルがあり、軽快なスタイルだけではありません。

ピノ・グリ/ピノ・グリージョと間違えやすい品種

ピノ・グリ/ピノ・グリージョと間違えやすいワイン

ピノ・グリ/ピノ・グリージョはどの品種と迷うかがスタイルによって変わります。アルザスの豊かなピノ・グリと、ヴェネトの軽快なピノ・グリージョでは、間違えやすい相手がまったく別になります。

アルザスのピノ・グリはアルザスのリースリングと、ヴェネトのピノ・グリージョはソーヴィニヨン・ブランと迷いやすい。まずこの2組を押さえます。

品種見分けるポイント
リースリング(アルザス)酸が高い
ソーヴィニヨン・ブラン青草やハーブの香り

アルザスのリースリング

アルザスのピノ・グリで最も迷いやすいのが、同じアルザスのリースリングかもしれません。産地が同じなので気候や土壌の影響が重なり、どちらも熟した果実の香りを持ち、ヴィンテージによっては残糖が感じられることもあります。

候補の整理のしかた

柑橘が中心 + 酸が骨格をつくる + 引き締まった口当たり → リースリング

白桃・黄桃の丸い果実 + 豊かなボディ + 丸みのあるテクスチャー → ピノ・グリ

どちらも残糖を持つことがあるため、甘さの有無では分けられません。

酸・ボディ・テクスチャーなどを組み合わせて判断しましょう。

ソーヴィニヨン・ブラン

ヴェネトのピノ・グリージョで迷いやすいのが軽めのソーヴィニヨン・ブランです。

どちらも軽快なボディで、レモンやライム、青りんごといった柑橘と青い果実の方向が重なります。色合いも淡く、見た目では決められません。

候補の整理のしかた

柑橘 + 青草やハーブ + 香りが比較的強い → ソーヴィニヨン・ブラン

柑橘と洋梨 + 植物の香りがない + 香りが穏やか → ピノ・グリージョ

香りが穏やかで決め手に欠けるという印象そのものが、ピノ・グリージョを疑う材料になります。

ピノ・グリ/ピノ・グリージョのブラインド練習におすすめのワイン

ピノ・グリ/ピノ・グリージョのブラインド練習におすすめのワイン

ピノ・グリ/ピノ・グリージョを覚えるなら、まずアルザスとヴェネトの2本を比較するのがおすすめです。

練習1:アルザスとヴェネトを比べる

2本を並べて、それぞれ次の点を確認します。

産地特徴
アルザス熟した白桃・黄桃・洋梨などの香り
豊かなボディ
丸みのあるテクスチャー
ヴェネトレモン・青りんご・洋梨などの香り
すっきりした酸
軽快なボディ

この2つの産地を比較すると、同じ品種でもスタイルが大きく変わることが分かります。

まずはこの2本から

どれから飲めばよいか迷ったら、アルザスとヴェネトを1本ずつそろえるのがおすすめです。2本を並べて飲むと、同じ品種とは思えないほどの違いが分かります。

① フランス(アルザス)|Hugel Pinot Gris Classic

② イタリア(デッレ・ヴェネツィエ)|Sartori Pinot Grigio

グラスに注いだら、まず色を見てください。アルザスのピノ・グリでは、銅色を帯びた色合いが出ることがあります。果皮の色の濃さが、そのままグラスの中で確かめられます。

さらに練習するなら

2本で産地の違いがつかめたら、同じ産地の中にある幅に広げてみましょう。

③ フランス(アルザス)|Trimbach Pinot Gris Reserve

④ イタリア(デッレ・ヴェネツィエ)|Collezione Pinot Grigio Pirovano

※アルザスのピノ・グリは辛口から甘口まで造られ、同じ銘柄でもヴィンテージによって残糖が変わることがあります。購入時に販売店の表記をご確認ください。

練習2:間違えやすい品種と比較する

仕上げに、間違えやすい品種を混ぜてブラインドで比較します。ピノ・グリ/ピノ・グリージョは迷う相手がスタイルによって変わるので、2つに分けて練習すると整理しやすくなります。

1|アルザスのピノ・グリ / アルザスのリースリング

酸の高さ、ボディ、テクスチャーを見る

2|ヴェネトのピノ・グリージョ / ソーヴィニヨン・ブラン

香りの強さ、青草やハーブの香りがあるかを見る

比較するポイントは次のとおりです。

  • 香りの強さ
  • 青草やハーブの有無
  • 酸の高さ
  • ボディとテクスチャーの厚み

まとめ

まとめ ピノ・グリ/ピノ・グリージョを見抜くために

ピノ・グリ/ピノ・グリージョは、ソーヴィニヨン・ブランやゲヴュルツトラミネールのように、香りの特徴だけで品種を判断するのが難しい品種です。

覚えておきたい組み合わせ

  • アロマティックではない + 中程度の酸
  • 柑橘だけでなく、洋梨や桃などの香り
  • ものによっては、白ワインにしては色が濃い、あるいは銅色を帯びている

ブラインドでは、次の順番で整理すると、ひとつの香りに引っ張られすぎず、品種と産地の候補を絞りやすくなります。

香りの強さ → 果実の熟度 → 酸 → ボディ → テクスチャー

産地ごとの特徴は、あくまで傾向です。

特にピノ・グリは産地、気候、収穫時期、収量、醸造方法によって大きく印象が変わります。

アルザスとヴェネトを飲み比べることで、品種そのものの性質と産地や造りによる違いが少しずつ見えてきます。

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この記事を書いた人

ワイン好きのメンバーで運営しているDig Wineの編集部です。J.S.A.認定ソムリエやWSET Diploma保有者が在籍し、実際に飲んで確かめた視点から、ブラインドテイスティングのコツやワイン選びのヒントをお届けしています。

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